※本記事は情報提供を目的とした一般的な制度解説であり、個別の受給結果を保証するものではありません。また、生命保険の無料相談サービスへのアフィリエイト広告を含みます。
この記事の要点
- 遺族年金は「配偶者や子なら必ずもらえる」制度ではなく、死亡した人に生計を維持されていたことが条件です。目安は同居(別居でも仕送り等があれば可)と、遺族側の前年収入が850万円未満であること。
- 死亡した人の年金保険料に未納が多いと、遺族年金そのものが支給されないことがあります。加入期間の3分の2以上の納付、または直近1年間の未納なしが必要です。
- 受給権は5年で時効になります。請求が遅れると、時効にかかった分はさかのぼって受け取れません。
- 「誰が・いくら受け取れるか」(遺族基礎年金・遺族厚生年金の対象者や金額、2028年4月の制度改正)は、記事309で詳しく解説しています。この記事では重複を避け、手続き面の注意点に絞っています。
- 請求書には戸籍謄本・住民票・死亡診断書のコピー・収入証明書などが必要で、請求先はお近くの年金事務所です。
遺族年金は「対象者なら自動で決まった額」ではない
遺族年金には、国民年金から支給される「遺族基礎年金」と、厚生年金から上乗せで支給される「遺族厚生年金」の2種類があります。誰が対象になるか、いくら受け取れるか、2028年4月に予定されている遺族厚生年金の見直しといった制度の全体像は、記事「生命保険を見直す前に確認したい公的保障の全体像と3つの穴」で詳しく解説しています。この記事ではその続きとして、「対象者に該当しているはずなのに、実際には受け取れない・減る・時効で消える」という、見落としがちな3つの落とし穴を解説します。
もらい損ねないための3つの注意点
①生計維持要件—配偶者や子でも、収入が一定額を超えると対象外
遺族年金を受け取れるのは、死亡した人に「生計を維持されていた」遺族に限られます。「配偶者だから」「子だから」だけでは足りません。生計維持の判定には、次の2つの基準があります。
- 同居していること(別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族になっている等の事情があれば認められます)
- 遺族となる人の前年の収入が850万円未満、または所得が655万5千円未満であること
特に見落とされやすいのが2つ目の収入基準です。共働き世帯で、遺族となる配偶者自身の収入が高い場合、「配偶者なのだから当然もらえる」と思っていても、この基準を超えていれば遺族年金を受け取れません。世帯の収入バランスによって民間の生命保険でどこまで備えるべきかが変わってくるため、共働きで双方に一定以上の収入がある世帯ほど、この要件を事前に確認しておく価値があります。
②保険料納付要件—死亡した人に未納が多いと、そもそも支給されない
遺族年金は、残された家族の状況だけでなく、死亡した人自身の年金保険料の納付状況によって、支給されるかどうかが決まります。原則の要件は次のとおりです。
- 死亡日の前々月までの国民年金加入期間のうち、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が3分の2以上であること
ただし、死亡日が令和18年(2036年)3月末までで、死亡した人が65歳未満であれば、直近1年間に保険料の未納がなければこの要件を満たす特例があります。逆に言えば、国民年金の保険料を長期間未納のまま放置していた人が亡くなった場合、配偶者や子が要件を満たす立場にあっても、遺族年金そのものが1円も支給されないことがあります。会社員・公務員は給与天引きで厚生年金保険料が納められているため実質的にこの心配はほとんどありませんが、自営業・フリーランス期間があった人や、転職・独立の間に国民年金の手続きが漏れていた期間がある人は、納付状況を確認しておく意味があります。
③時効は5年—請求が遅れると、さかのぼれない分が出る
年金を受け取る権利には5年の時効があります。遺族年金も例外ではなく、受給権が発生した日(死亡日)の翌日から5年を過ぎて請求すると、時効にかかった分はさかのぼって受け取れなくなることがあります。葬儀や相続の手続きに追われて年金の請求が後回しになりがちですが、請求そのものは急を要さなくても、いつまでも先延ばしにしてよいわけではないという点は知っておく必要があります。
請求方法
遺族年金は、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに請求書を提出します。基本的に必要な書類は次のとおりです。
- 戸籍謄本(または法定相続情報一覧図の写し)
- 世帯全員の住民票の写し
- 死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
- 請求者の収入を確認できる書類(生計維持要件・収入基準の確認用)
- 受取先金融機関の通帳等(請求者本人名義)
マイナンバーを記入すると、戸籍謄本や住民票などの添付を省略できる場合があります。子が3人以上いる場合や、交通事故など第三者の行為によって死亡した場合は、追加の書類が必要になります。必要書類は状況によって変わるため、まずは年金事務所や街角の年金相談センターに相談することをおすすめします。
保険証券を見せて、公的保障との重複を確認する
全国対応・訪問&オンライン相談可能。現在の契約内容と公的保障の範囲を突き合わせて確認できます。相談自体は無料ですが、提案される商品には販売手数料が発生する場合があるため、その場で契約せず持ち帰って検討することをおすすめします。
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本記事は公的年金制度の一般的な解説であり、個別の受給可否や受給額を保証するものではありません。制度の詳細は今後変更される可能性があるため、最新情報は日本年金機構の窓口や公式サイトでご確認ください。
出典
- 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html(2026年9月16日確認)
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html(2026年9月16日確認)
- 日本年金機構 年金用語集「生計維持」https://www.nenkin.go.jp/service/yougo/sagyo/20160824.html(2026年9月16日確認)
- 日本年金機構「遺族厚生年金を受けられるとき」(請求手続き・必要書類)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/izoku/seikyu/20140617-02.html(2026年9月16日確認)
よくある質問
Q. 遺族年金は配偶者や子であれば必ずもらえますか?
いいえ。死亡した人に生計を維持されていたことが条件です。同居している(別居でも仕送りや健康保険の扶養親族といった事情があれば可)ことに加え、遺族となる人の前年の収入が850万円未満(所得655万5千円未満)であることが目安になります。共働きなどで遺族側の収入がこの基準を超えていると、配偶者や子であっても遺族年金を受け取れません。
Q. 亡くなった人の年金保険料の未納が多いと、遺族年金はどうなりますか?
支給されない可能性があります。死亡日の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間(免除期間を含む)が3分の2以上必要です。ただし死亡日が令和18年3月末までで死亡時65歳未満の場合は、直近1年間に保険料の未納がなければこの要件を満たす特例があります。いずれも満たさない場合、対象となる家族がいても遺族年金は支給されません。
Q. 遺族年金の請求に期限はありますか?
あります。年金を受け取る権利は5年で時効になります。受給権が発生した日(死亡日)の翌日から5年を過ぎて請求すると、時効にかかった分はさかのぼって受け取れなくなることがあります。
Q. 遺族年金の請求にはどんな書類が必要ですか?
戸籍謄本(または法定相続情報一覧図の写し)、世帯全員の住民票の写し、死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書、請求者の収入を確認できる書類、受取先金融機関の通帳などが基本的に必要です。マイナンバーを記入すれば、戸籍謄本や住民票の添付を省略できる場合があります。子が3人以上いる場合など、状況によって必要書類が増えることがあります。
Q. 遺族基礎年金と遺族厚生年金は両方もらえますか?
会社員・公務員だった人が亡くなり、遺族が「子のある配偶者」または「子」に該当する場合は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取れます。一方、自営業・フリーランス(国民年金第1号被保険者)が亡くなった場合は遺族厚生年金の対象外で、遺族基礎年金のみです。それぞれの金額や、子のいない配偶者の場合の扱いは記事「生命保険を見直す前に確認したい公的保障の全体像と3つの穴」で詳しく解説しています。



